「”女性のキャリア”を真剣に考えるとなんでこんなしんどいの?」問題について推奨本と共にまとめてみた
「ただ仕事が好きで働き続けたいだけなのに、なんでこんなにしんどいんだ・・・?」
「ずっとバリバリ仕事がしたい!」と、就職活動で「総合職」を目指し、実際に「総合職」を目指して就職活動をしはじめてから今まで、何度もぶち当たってきた壁。仕事を続けたいのに両立ができないと肩を落とす友人。優秀で続ける意志もあるのに家庭の折り合いが原因でやめていく同僚。
原因は「女性であるから」
いや、原因をただこれだけにするのは暴論なのですが、すごくシンプルにするとそうだとしか思えない!ということを、たくさんたくさん目にしました。仕事が好きで続けたい、自分の足で立ちたい。そんな純粋な願いが、実質「女性であること」が原因で折られていく数々の現場が納得できなくて、自分自身もそんな場面に出くわして、本当に色んな本を読んで活路をさぐりました。
今回は、私が今まで読んできたいろいろな「女性のキャリア」に関する本から抽出した様々な「壁」と、その「壁」への理解や対処法を理解するのに役に立ちそうな本(一部サービス)を絡めつつ、まとめてみました。少しでも、壁で苦しむ人の参考になれば。
★前置き★
考え方は人それぞれです。私は、全員が働くのが正とは思っていないですし、結婚や出産が前提、とも思っていないです。(結婚や出産が絡むと問題が複雑になりがちなので特に今回の話題だとでてしまう、というだけです)それぞれの人が心からしたいようにできる社会にしていきたい、が根本にあります。
1.会社は「男性中心」のルールになっている壁
【例】
・望んでもいないのにサポートやアシスタント的な立ち位置を期待される
・少し目立つことをすると「バリキャリ」扱いされる
・自分では一生懸命にやっているが、「イタイ」等と言われる
・なぜか昇格が遅れる
「今はそんな時代じゃないでしょ・・・」といいたいところですが、このようなことはまだ山程あります。あからさまなものは減ってきていますし、先進的な会社ではそんなことはしていないでしょう。それでも、まだ「女性が活躍」することをよく思わない場面に遭遇することは多々あります。この問題について、
ビジネス・ゲーム 誰も教えてくれなかった女性の働き方 (光文社知恵の森文庫)
- 作者: ベティ・L.ハラガン,Betty Lehan Harragan,福沢恵子,水野谷悦子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/01/08
- メディア: 文庫
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では、「女性は会社の外国人である」
勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド (ディスカヴァー携書 022)
- 作者: 勝間和代
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2008/03/01
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では「女性に自立してほしくないのが社会の本音」という表現をしています。まとめるならば、①自分たちの領地を脅かす存在が来た、という風に捉えられる②補助的な業務をしてくれる人がいなくなれば自分たちでそれをやらねばならないとき危機感があるという状態がまだまだ残っている、ということです。この2冊では、女性が学ぶ機会を与えてこられなかったビジネスの現場でのルールを解説すると同時に、それを理解した上での立ち振舞いから、服装、キャリアの築き方まで書いています。
※なお、「ビジネスゲーム」は元々は1977年にかかれており、それを日本に合わせて書いてあるものなので少し表現がしっくりこないところもあるかもしれません。(日本は30年遅れているといいますが、本当にそうなんだなあ・・というのも分かって面白いですが)勝間和代さんの本も10年経っているので少し今と違うところはでてきていると思いますが、十分今にも通じる部分があると思います
2.家族からの「女に期待される役割」の壁(主にパートナーの壁。ここに収入の壁もかかってくる)
【例】
・親から「お母さんが側にいないと子どもの教育によくない」「家事代行を使うなど、夫や子どもがかわいそう」と言われる
・共働きだが、「時短は当然女性側」「転勤についてくるのは女性」という前提で話が進む
自分はもうそんな考えではない!親やパートナーがなんと言おうと関係ない!といいたいところですが、ここで苦しんでいる人の多さ。親ならまだしも、自分が働くことを応援してくれていたパートナーが、結婚したり子どもができてから、なぜか自分の仕事を「平等」にみてくれなくなる、という話をもう数え切れないほど聞いてきました(短時間取得の話等はまさにこれ)。ここでの大きい要因は①「女の子はおままごとがすきだよね」といった、小さな頃から少しずつ積み重なるイメージ②これまでの社会の構造から、男性の方がどうしても収入が多い状況と「収入が多いほうが働いたほうが効率的」という現実的な話が連動している、の2点かと思っています。この問題を理解するのに役立つのが
「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)
- 作者: 中野円佳
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です。「バリバリ仕事をしたい!」と言っていた女性が(人ほど)何故ドロップアウトしていくのか、ということを、事例とともに記載しています。ではどうすればいいのか?両立の現実把握や、状況を恒常させていくためのマインドやノウハウに関する本でいうと、
2人が「最高のチーム」になる―― ワーキングカップルの人生戦略
- 作者: 小室淑恵,駒崎弘樹
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2011/06/23
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仕事と家庭は両立できない?:「女性が輝く社会」のウソとホント
- 作者: アン=マリー・スローター,篠田真貴子(解説),関美和
- 出版社/メーカー: NTT出版
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あたりがおすすめです。また、本ではないですが、あつたゆかさんが最近開発された結婚前に二人の価値観をすりあわせる「
ふたり会議|結婚前にパートナーと価値観の確認ができるサービス
」もおすすめです。キャリアを築きたい女性にとって、パートナーは重要です。しっかり二人が納得できるよう、本やツールを使ってとことん話すとよいかと思います。
3.身体的なタイムリミットの壁
【例】
・35歳をすぎると妊娠できにくくなる、リスクが高まる
様々な技術が向上し、一概にこうだとは言えなくなってきていますが、それでも「物理的に子どもを産めるかどうか」という問題は女性の悩みを増やしていきます。そして、それは紛れもない事実です。ごまかしても、身体的なリミットは来てしまう。
オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す (光文社新書)
- 作者: 三砂ちづる
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2004/09/18
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は、一度自分の体と向き合ってみる、という点で読んでみてもいい本だと思います。正直なところ、この本の中には、正直、「キャリアをバリバリ歩みたい!」という女性にはむっとするような表現もいくつかでてきます(私は結構イライラして読んでました笑)しかし、現実から目をそむけても仕方ないので、「体のこと」にもしっかり向き合ってみる、という気持ちで読んでみると選択の際の一つの視点になるかもしれません。
4.制度の壁
【例】
・待機児童になってしまい、保育園に預けられず働けない
・子どもが障害を持って生まれたが、預けられるところがなく働けない
ここは本で紹介すると言うより、現状の制度では阻まれてしまうこのような現象も起きる、という例示として出しました。私の勤めている
認定NPO法人フローレンス | 新しいあたりまえを、すべての親子に。
では、このような現状の社会問題を解決するための事業を行っていますが、親子に関する社会問題はまだまだたくさんあります。自分たちの努力ではどうにもならないことでキャリアを中断せざるをえなくなる、という状況(そして、そうなった場合に多くは女性がその責を担う)も、残念ながら現実問題として発生しています。
5.女性自身の意識の壁
【例】
・パートナーに迷惑をかけるくらいなら自分が犠牲になればいい
・なにか言われるくらいならしたくない
・上司の女性がつらそうで、あんなふうになりたくない
1~4の様々な洗礼をあびた結果、女性自身が「自分のキャリア等大したものではない
から、無理しないでいいや」という気持ちになってしまうことがあります。本当に家庭にコミットすることが大好きだったり、キャリアに興味がなかったりするのであれば問題ないのですが、「本音ではキャリアをしっかり築きたいのにそれができなくて苦しんでいる」人がどれだけ多いか。
そもそも①~④のような壁があるのがナンセンスなのですが、女性自身が意識を変えることで、本当はつかめるチャンスがあることもあります。少しでも、「自分、本当はできるかも?」「やりたいかも?」と思う方には、
LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲 (日経ビジネス人文庫)
- 作者: シェリル・サンドバーグ,川本裕子,村井章子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2018/10/02
- メディア: 文庫
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や、様々な女性リーダーたちの自著などを読んでみるのも、刺激になるかもしれません。勿論、読むことで「自分と全然置かれている状況がちがう・・」と思うこともあると思うのですが、「何か活路があるかもしれない」というヒントがあるかもしれません。
社会を変えつつ、同時並行で個人の問題解決をしていく必要がある
というわけで、今回は5つの壁と、その理解の手助けとなる本について記載しました。今回のことで私が言いたかったのは、「社会の変革と個人の問題の解決両方をやる必要がある」ということです。例えば、「社会の変革」でいうと、もっと家事代行等アウトソースのサービスを使うことに抵抗がなくなったり、男性が働き方をゆるためたり、待機児童がなくなったり、「女性が働くこと」への障壁になっている減少をなくすための動きをしていく必要があります。ここは、私の所属しているNPOで取り組んでいることもそうですし、個々でできることで言うと、まずは選挙に行ったり、自分たちが暮らしやすい世の中になるように動き、発信していく、というのも重要です。
一方で、「社会」というのはすぐに変わりません。未だ年齢で採用や昇進を控えられることもあれば、頼りたいのにそのための制度やサービスがないこともあるでしょう。そのために、カウンセリングやコーチングという形でプロと一緒に手立てを考えたり、パートナー選びを真剣にしたり、パートナーと話し合うためのツールを利用したり、一人で生きるのに快適に過ごせるためのキャリアやお金の設計について棚卸ししたり・・・と個人の問題として個別に対処法を考えていくことも必要です。
だから私は、欲張りかもしれないけれど、両方やっていきたいと思って今の働き方(NPOで働きながら、個人のキャリアに関する仕事をする)をとっています。
正直、今はまだまだ生きづらい。日本でた方が楽なんじゃないか?って思うこともあります。それでも、10年後に少しでも「なんか本当に働きやすくなったよね!」と、自分の世代や後の世代が笑えるように、明日からもがんばっていきたい。そんな風に思います。